岡山県玉野市宇野港は、かつて四国への玄関口として栄えたエリア。瀬戸大橋の開通後、港の活気は徐々に薄れてしまったが、現在は瀬戸内国際芸術祭への玄関口として再び多くの人がこの地を訪れるようになっている。
その港に面したロケーションバッチリなところにかつて’'幽霊ビル’'といわれた東山ビルがある。4 階建てのホテル機能を持つ複合施設で、1 階に飲食店、2 階にバー兼イベントスペース、3 階にフリースペース、4 階に工房と美容室が入り、各階に宿泊ができる客室が備わっている。そしてトレードマーク的屋上。夏限定の屋上ビアガーデンをはじめ多様なイベントが行われ、異様な賑わいをみせている。
このビルを甦らせたのは、震災を機に東京から岡山に移住した西野与吟(よぎん)さん。2012年に「岡山芸術回廊」の会場として東山ビルの一部を改装したのをきっかけに、セルフリノベを開始。「壊れたモノを修復する快感に取り憑かれ」、約5年かけてビルを改修した。施設内の設備の多くは、地元で集めた廃材やB級品。その過程で色々な人からの助けを得、地元とのつながりもたくさん生まれたという。シンプルながら廃材のエッジが効いた空間は、与吟さんの遊び心とセンスが光る。なんだか自分もやりたくなってくる。
与吟さんは「公園のように意味もなく行ける場所、余白のような場所を作りたかった」という。ひとりの世界観が居座るのではなく、いろんな人の交差点となるようにしたいと。東山ビルという‘‘白いキャンバス’'が用意してあるだけで、そこに色を添えるのは訪れた人たちだ。きっかけとなった芸術回廊から十数年。東山ビルに関わった末に、新たに自分で拠点をつくる人たちも増えているという。東山ビルは余白を埋める熱気をエネルギーに、変わりゆく宇野の街でひとつのうねりを作っている。




画像提供:東山ビル

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東山ビル | HYM Hostel
住所:岡山県玉野市宇野1-7-3