日本焚火学会

焚火は技術であり、アートである――日本焚火学会の自由すぎる自治と哲学

1993年に発足した焚火に学ぶ会。広島市佐伯区湯来町に本拠地を置く。
湯来町は広島市中心部から車で1時間ほどの山間にある。設立当時は、薪で風呂を炊いている家がまだあり、草刈り後の焚火や野焼きなど、日々の生活の中に焚火が息づいていた。発起人は街中からこの地に移住し、ご近所のおじいさんたちの焚火の技術に感嘆し、その知恵を学ぼうと有志の仲間とともにこの会を立ち上げた。

大会は年に1度か2度、春や秋に開かれる。ご近所さんをはじめ県内外の遠方から、老若男女が1日のべ100人ほど参加する。

本部会場は民家の敷地内。当日はいくつかの焚火がおこされ、小さなステージではさまざまな視点からの焚火に関する発表がある。(たまに焚火とは全く関係のない発表もある。)楽器の演奏や歌の披露、フード・ドリンクや作品の販売、ワークショップもある。
会場では学会の通貨「焚(ターク)」が流通する。当日は焚銀行が設けられ両替ができる。薪割りや会場設営を手伝えば「焚」でお小遣いももらえたりもする。
タイムテーブルは特になく、いつ始まるとも終わるともなく、参加者は自主的に焚火を学び楽しみながら過ごす。熾火となった焚火を楽しんだあと、テントや車中泊をし、翌日は会場の片付けを手伝い颯爽と帰っていく人も。

焚火は技術であり、アートでもあるのではないだろうか。焚火の周りには常に人がいて、そこから自然に対話や表現が生まれていく。

組織形態も独特で、会長には人間ではなく角印(大理石に「日本焚火学会」と篆刻されている)を置き、「世話人」は自称を推奨しているので、どうやら各地に支部ができたり世話人や代表世話人がいるらしい。1度でも参加すれば会員ということで、会員もいまや相当な人数になっているだろう。開かれた組織だが「どこまで開くと組織が崩壊するのか、ぎりぎりのところで実験しているような、最先端をいく団体」(日本焚火学会HPより)と自称する。ゆるすぎるようだが、32年も続いているということは、これでいいのかもしれない。

学会の日程や単発でたまに行われる会については、ホームページやFacebookで発表されるので、気になる人はぜひチェックして参加してみて。

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写真はすべて2022年10月8日の焚火学会当日の様子、筆者撮影

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  • セミオープン

日本焚火学会

住所:広島市佐伯区湯来町

セミオープンだが、学会時はオープン