1890年創業。現在の建物は1935年の新発田大火による全焼を経て、翌年に再建された木造3階建ての洋風町家である。アール・デコ調のモダンな意匠や外壁のスクラッチタイルなどが認められ、2017年に国の登録有形文化財に登録された。現在は本来の撮影業務を継続しながら、写真館という枠組みを超えて歴史的空間を地域コミュニティへ開放し、文化を多角的に伝える場としても機能している。2階には傾斜した大きな天窓を持つ「寫場(スタジオ)」があり、創業時から変わらず自然光を活かした撮影が今も行われている。
館主で美術家の吉原悠博氏は、ニューヨーク留学時代にビデオアートの開拓者ナムジュン・パイクから多大な影響を受け、メディアアートの最前線で活動後、写真館の継承を機に足元の歴史に着目。土蔵のガラス乾板から地域の記憶を呼び覚ます展示を行う一方、写真家の平間至氏や俳優の佐野史郎氏らを迎えた対話を重ねている。さらに、首都と地方の非対称性や土地の歴史をテーマにした映像インスタレーション作品の制作発表を続けている。また、商店街を展示会場に変える「写真の町・シバタ」や、ハードオフ創業の地からオーディオ文化を継承する「音響の町・シバタ」に携わるなど、活動を広げている。
新発田の街の記憶が宿る吉原写真館は、銀塩の匂い、天窓の光、良質な音響のレイヤーを多層的に定着させる、表現の「現像所(ラボ)」として息づいている。




