新潟市が所有する旧日本銀行新潟支店長役宅(1933年築)を活用した芸術文化施設。戦前の日銀役宅が現存する事例は全国に2箇所しかなく、近代和風住宅としての歴史的価値は極めて高い。指定管理者制度の導入時、美術評論家でコレクティブ・ギャラリー「新潟絵屋」の代表である大倉宏氏が、説明会で隣席した「株式会社新潟ビルサービス」へ協働を提案し、ハード管理とソフト(NPO法人新潟絵屋)の職能分離によるオルタナティブな公設民営モデルとして機能している。

館内は重厚な洋館と趣ある和館が一体となり、中廊下式住宅の特徴ある間取りや庭園の黒松などが土地や時代の記憶を伝える。大倉氏は、美術館のような専用スペースではなく、日本間や廊下、床の間、庭園など邸宅の全空間に現代アートを「生活の伴侶」として自然に配置。さらにホワイトキューブが排除した風の音や鳥のさえずりといった「環境のノイズ」を意図的に取り込む。

独自の響きを持つ歴史的空間で特別な音響体験を作るレーベル「Experimental Rooms」の星野真人氏の企画が実験的な音響レイヤーを更新。さらに、舞踊家・田中泯主宰の「舞塾」や農場等で20年間活動したのち帰郷した即興舞踊家・堀川久子氏の身体が、建物の床や柱、地形の起伏をそのまま活かした日本庭園の土や木々の記憶と共振することで、その瞬間限りの多層的な鑑賞環境が立ち上がる。落語や香道などの伝統・生活文化の催しも含め、観客の五感を解放し、表現を深く「聞き取る」ための身体チューニングを行う「生きた文化財」として動いている。

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砂丘館

住所:新潟県新潟市中央区西大畑町5218-1