Don't Follow the Wind

封鎖された展覧会、開かれる想像力:帰還困難区域に息づくアート

《Don’t Follow the Wind》は、東京電力福島第一原発事故により「帰還困難区域」となった複数の場所に、国際的な現代美術展を開催するという長期にわたる試みである。2015年に開始されたこの展覧会は、そもそも観客が立ち入れないことを前提としており、作品は封鎖されたまま現地に設置されている。展示は環境とともに想像力の中で鑑賞され、区域の解除によって初めて現地での一般公開が可能となる。

展覧会には12組のアーティストが参加し、そのうち半数は国内作家。3人のキュレーターによる選定のもと、10名の実行委員が年間を通じて、作品や会場の維持管理、除染による解体・再整備や、草刈りなどを行っている。2022年には会場のひとつが解除され、小泉明郎の作品が初めて一般公開された。

プロジェクトを伝える巡回型展示「ノンビジターセンター」は、これまで世界40都市以上で開催され、シドニービエンナーレやパリのピノー・コレクション、ドイツ・ギッセンのクンストハーレ、ニューデリーのPollinatorなどで展開。2024年にはテート・モダン(ロンドン)やソウル、プラハ、シカゴなど各地の大学や美術館でプレゼンテーションやワークショップが行われている。

現在、帰還困難区域内のふたつの会場では、参加作家の竹内公太によるドキュメンタリーが進行中。加えて、現地の生態系を観察するためのモニタリングも行われており、国立環境研究所や国内外の研究者と連携し、近く科学論文の発表が予定されている。

画像提供 : Don't Follow the Wind
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Don't Follow the Wind

住所:帰還困難区域内

クローズド、その後オープン