清春芸術村

白樺派の夢が息づく、建築と思想の歴史空間

地域に根ざしたアートスペースというと、つい牧歌的なイメージを抱きがちだが、清春芸術村はむしろヒリヒリとした緊張感に満ちている。ここは、昭和初期から戦後にかけての「文化人」たちが思い描いた理想郷、あるいは聖域のような場所である。武者小路実篤や志賀直哉をはじめとする白樺派の同人たちが構想した美術館の夢を、親交のあった吉井長三(1930〜2016)が実現した。その志は現在、吉井仁実によって引き継がれている。
芸術村の敷地内には、ギュスターヴ・エッフェル設計の集合アトリエ「ラ・リューシュ」や、谷口吉生による「清春白樺美術館」、さらに安藤忠雄の「光の美術館」、藤森照信の「茶室 徹」など、貴重な建築群が点在し、まさに“建築の殿堂”とも言える空間を形づくっている。現在も増設や移築が進行中で、山梨国際芸術祭をはじめとする新たなアートフェスティバルの拠点としても注目されている。

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清春芸術村

住所:山梨県北杜市長坂町中丸2072