約200点におよぶキース・ヘリングの作品を所蔵・展示する美術館。豪華な作品群や先鋭的な建築、大胆な空間設計も印象的だが、特に注目すべきは、ヘリングの思想を受け継ぎながら展開される多様なアクティビティである。美術館のウェブサイトでは、HIV/AIDS、LGBTQ+、KIDS、SUSTAINABILITY、PEACEといったテーマが掲げられ、各種団体や運動と連携しながら、社会課題に直接的に取り組んでいる。また、キュレーターやスタッフ自身も表現者であり、美術館全体がひとつの運動体のように機能している点も特徴的だ。
2015年に新設された展示スペースでは、ヘリングと関わりのあったアーティストの展覧会や、彼が活動した時代背景を丁寧に掘り下げる展示が行われている。さらに、彼の「ポップショップ」の精神を受け継ぐ「中村キース・ヘリングポップショップ」も併設されており、単なるミュージアムショップにとどまらず、歴史的視点や思想性を重視したセレクトによって、ショップ自体が表現の一部として機能している。

.jpg)
Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection.
.jpg)
Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection.