飛生アートコミュニティー

北海道のオルタナティブ・スペースの先駆者

北海道の新千歳空港から車で約1時間、白老町の竹浦にある踏切を渡り、山側に約6キロ走ると「旧飛生小学校」の木造校舎があらわれる。1986年に廃校となった校舎を彫刻家の國松明日香たちが共同アトリエとして「飛生アートコミュニティー」を創設した。作品制作の場でありながら展覧会や音楽イベント、ワークショップを開催するなど北海道におけるオルタナティブ・スペースの先駆的存在といえるだろう。2002年以降、国松希根太と奥山三彩ら次世代のアーティストが引き継ぎ、二世代にわたり発展しつづけるアートコミュニティとなっているのが特徴だ。共同アトリエとしての作品制作のみならず、毎年秋に校舎や森を舞台に展覧会やイベントを行う「飛生芸術祭」(2009年〜)、飛生芸術祭の前夜にオールナイトで行われる「TOBIU CAMP」(2011年〜2022年)、校舎裏の森を再生させる「飛生の森づくりプロジェクト」(2011年〜)は、北海道各地より老若男女が集まり作業をしながら、寝食を共にする濃厚な交流プログラムとして継続している。多世代、多分野が集い交じり合うことで、次世代へ向かう飛生アートコミュニティーは2026年に40周年を迎える。森と人と作品との共在を目指して地道な活動をしぶとく楽しそうに続けている姿勢に尊敬の念を抱いている。

「飛生アートコミュニティー」Photo_Kineta_Kunimatsu.jpg
「飛生に集まる人たち」Photo_Ryoichi_Kawajiri
記事のサムネイル
  • セミオープン

飛生アートコミュニティー

住所:北海道白老郡白老町竹浦520