近年、札幌駅前通まちづくり株式会社の各事業が札幌の芸術文化に彩りをそえている。きっかけは美術家の今村育子が2011年にまちづくり会社に入社したことが端緒となる。2013年に公共空間の活用を考えるパブリックアートリサーチセンター「PARC」の立ちあげ、2014年眺望ギャラリー「テラス計画」の開設、2021年「サッポロ・パラレル・ミュージアム」始動など、アートを基軸としたまちづくり活動を次々に推進するが、プロジェクトに参画してくれる仲間が見つかりにくい状況を打破するべく2016年に開講したのが「シンクスクール」だ。まちづくりとアート、企画と制作など幅広く学べることや、道内外の専門家を講師に招聘しグローバルな視点とローカルな活動の両方を取り上げることから多様な背景を持つ人々が関心を寄せる。卒業生の活躍により「なえぼのアートスタジオ」「0地点」等の共同アトリエや「鉄と光の芸術祭」など地方芸術祭も誕生した。これまで200名以上の卒業生を送りだし、2025年度には開講10年目を迎えた。自身も美術家として作家活動をおこなう主任講師の今村育子と高橋喜代史はともにCAIアートスクールの第1期卒業生であり、ここにCAIからシンクスクールへと連なるオルタナティブな私塾の系譜がみえる。

