シンクスクール企画コース1期生で不動産会社に勤務していた荒岡信孝の入学動機は、セカンドキャリアを模索して、まちづくり会社の受講生募集案内を目にしたからだった。荒岡がスクール卒業後、当時スタジオを探していたスクール講師のアーティスト山本雄基に物件を紹介したのが、なえぼのアートスタジオの始まりだ。1人で使用するには大きすぎたため、山本がアーティストやギャラリストなどに声をかけ、7人の運営メンバーが結成され契約を交わした。札幌駅隣の苗穂駅からほど近い、築60年の旧缶詰収納倉庫2フロア約270坪を自分たちで改装し、2017年7月にスタート。今では15名以上のアーティストにくわえ、日本で最も古くから続いているアーティスト・イン・レジデンスであるNPO法人S-AIRや、荒岡が定年退職後に起業した不動産会社も入居している。また、約30坪のフリースペースを併設し、大きな作品を制作するための利用や企画展示、レジデンスアーティストの滞在制作、ライブパフォーマンスや舞台演出など、さまざまな用途として使用できるのが共同スタジオのポテンシャルを高めている。家賃収集や清掃・メンテナンスなどのスタジオ管理を荒岡が引き受けてくれているのもユニークな点だ。

