長野県大町市で毎年開催される「信濃の国 原始感覚美術祭」は、今年で16年目を迎える芸術祭です。今年のテーマは「水のやまづと」。山からの贈り物を意味する「やまづと」、北アルプスの雪解け水を湛える仁科三湖の木崎湖畔を中心に、豊かな水から生まれる山からの贈り物のような体験を受けとることで、訪れるすべての人があらゆるかたちの表現者であることを思い出すことができるような祭りを目指しています。この祭りの特徴は、参加者が自然と真摯に向き合い、即興の創作活動に没頭する中で、心の奥底にある原始的な感覚と自由な発想を呼び起こすことにあります。大地や水がもたらす生々しい現実と、そこから生まれる美意識は、整然とした芸術ではなく、偶然と必然が交差する、まるで水しぶきのような予測不能な美しさとして表現されます。NPO法人原始感覚舎の代表を務める杉原信幸と中村綾花は、2024年度の福岡アジア美術館のアーティスト・イン・レジデンスにも参加しており、その活動は国内外で注目を集めています。信濃の国 原始感覚美術祭は、参加者と自然、そしてアートが一体となる、他に類を見ない芸術祭です。


